動詞「する」

「する」と聞いて、まず思い浮かべるのは「意志をもって事を行う」という意味だろう。それが同時に、意志性が全くない表現にも使われているというのはおもしろい。意味を考えると、中国語のように「有る」などを使ったほうが理屈に合っているような気もするのだけれど。
手元の『岩波古語辞典補訂版』で、「し(為)」をみると、次の記述がある。用例として、万葉集から3つ挙げてあるが、これらはどれも助詞がない形だ。

  • ②(自然現象など)起こっているのが感じられる。見える。聞こえる。
    • 「羽昨(はくひ)の海朝凪ぎしたり」(万4025)
    • 「浦廻より楫(かぢ)の音するは海女娘子(あまをとめ)かも」(万3641)
    • 「雪消(ゆきげ)する山道すらをなづみぞわが来る」(万382)

昔からある表現なのはわかったが、いつごろから「が」「を」などの助詞が挿入されるようになったのか。