ノダとノデ

みんなの日本語』第26課で扱ふ「んです」について、先週ふと思ひついた。
「んです」といふのは、ノデを含む文が「ノハ構文」になり、ノデが後置されてゐる形だと考へればいいんぢやないか。
教科書の例文で見る。濡れた傘を持つて玄関に立つ人を見て、以下の文を言ふ練習。

雨が降っているんですか。

この文は以下の理屈で理解すればいいのではないか。

雨が降っているノデ、傘が濡れている。

傘が濡れているノハ、雨が降っているノダ(ろうか)。

(前半は言語化されず)雨が降っているんですか。

濡れた傘を目にしたところから、その原因をさかのぼつて考へた、と。
「ノハ構文」(正式な名称は何だつけ)といふのは、以下のやうな形。

6時に起きた。

起きたノハ6時ダ。

この本のおかげで、試験に合格できた。

試験に合格できたノハ、この本のおかげダ。

日本のアニメが好きだから、日本語を勉強している。

日本語を勉強しているノハ、日本のアニメが好きだからダ。

教科書の例文
特別な格好をしている(大きなリック、登山帽、登山靴)。理由は?

山へ行くノデ、そんな格好をしている。

そんな格好をしているノハ、山へ行くのダ(ろうか)。

(前半部は言語化されず)山へ行くんですか。

どうでせう。これで「ノダ」が全て説明できるとは思ひませんが、26課で扱ふ基本的なものならば、かう考へたはうが学習者への説明もしやすいのでは(この26課「んです」の説明方法に関しては、自分の知るかぎり、多くの教師に迷ひがあるやうに思はれます)。学習者にここで「ノハ」の文法を教へるといふことではなく、言語化されてゐない「ノハ」部分を、導入やドリルの過程できちんと意識付けしていくやうにするといふこと。
「ノデ」について、もつと勉強しなくては。