養蚊子

最近(といつてもかなり前からだな)新聞などで「養蚊子」といふ表現を時々見かける。大金を投じて政府関係の施設やら公園やらを作つたはいいけれど、利用者がゐなかつたり、管理費がなかつたりで、そのまま建物だけが放置されてゐる状態を揶揄した言葉のやうだ。雑草が生茂り、蚊が湧いてゐる、といふことだらう。新聞によると、かういつた放置されたままの建物が台湾各地にかなりあるらしい。
で、少し前に台中市が発行した「台中市重大建設示意圖」といふパンフレットを目にして驚いた。國家圖書館に野球場、新政府センターに戸外劇場等等……。台北にあるやうな捷運の計画もあるのだな。ものすごい建設ラッシュ。
このパンフレットが発行されたのは先月。中には現台中市長・胡志強の写真も掲載されてゐて、「市」が発行したものとは云え、来月の市長選挙を睨んだものであるのは間違ひないと思ふ。これに対抗してか、民進党対立候補も「百億文化建設計畫」といふのを公約に掲げてゐる。
確かに台中には土地がある。年配の知人が「このへんは少し前までは全部田んぼだつたんだよ」といふ所にどんどんマンションが立ち並ぶやうになつてゐる。しかし、台中生活者としては、そんな大規模な物よりも、歩道と駐車場(駐輪場)の整備をお願ひしたいのだけどなあ。市中の混雑は耐へ難いものがある。
選挙の景気付けのための派手な計画が、結局「養蚊子」になつてしまはないかと心配。