表音文字としての漢字

日本では、漢字はまず「表意文字」であり、視覚を通じて「見てわかる」ことが第一で、音声との結びつきはかなり緩い。極端な例かもしれないが、「五月蝿」を「うるさい」と読ませるような当て字とか。
しかし、台湾(中国語圏)に来てみると、漢字が表音文字として使われているケースが数多くあって最初は少し戸惑った。まあ、考えてみれば、漢字以外の表記法がないのだから、外国の人名や地名などの場合、そうならざるをえないのだろうけれど*1

  • 人名:布希(ブッシュ) 湯姆克魯斯(トム・クルーズ)等
  • 地名:波土頓(ボストン) 紐約(ニューヨーク)等 こちらに写真がありましたね。id:suikan:20040415

日本語の「音読み」で読むと、わかりにくいかもしれないが、中国語の発音ではそれなりに「近い」音になる。
他にも、最近こちら(id:moli-xiong:20040415#p2)で「シャンプー」「リンス」などの漢字表記を目にした。(台湾にはない表記のし方だったので、おもしろかったです。これから時々おじゃまさせていただきます。>moli-xiongさん)
で、今日自分のクラスの生徒から聞いた話なのだが、日本語を「表音文字としての漢字」で書く場合もあるとか。日本語を勉強してる学生などが友達とチャットしてる時など、日本語のフレーズを使いたいが、日本語を素早く入力することは難しい。それで、「ありがとう」を「阿里阿多!*2」とか、「難しい」を「母資卡西*3」とか入力して代用しているらしい。
まあ、これは友達同士のチャットでの「遊び」で、こういった表記法が広く使われるようになるとは思わないけど、日本での万葉仮名を思い出して興味深かった。


追記
そういえば、「いちばん」を「一級棒(「いーじーばん」)」と書くのはテレビなどで時々見かける。「棒」には「優れている」という意味もあるので、純粋に「表音」というわけではないのかもしれないけど、これって日本語ですよね?>中国語わかる方。

*1:発音記号として「注音符号」があるが、それだけを使って文を書くようなことは通常しない。

*2:これだと「ありあとう」に聞こえると思うが・・・。

*3:「か」の部分には、「上」と「下」が組み合わさった字。←ユニコードで表示できました!