2005年度夏季研修会

交流協会が毎年二回開催してゐる日本語教師向けの研修会。日本から講師を招き、台北・台中・高雄の三都市を回つて行はれる。去年までは各会場二日間の日程だつたのだが、今年は台中だけ一日のみの開催となつた。台中はもともと参加者が少なかつたうえに、去年は初日の講義だけ聞いて、二日目のワークショップには来ない(来られない?)といふ人が多かつたからだらうか。残念。
今回の会場は東海大学台中市街からはちよつと遠く、スクーターで三十分以上かかる。教室の場所など全く知らないので、開始時間(九時)の一時間前に着くやうに出発。台風接近中とのことだが、きれいな青空。

テーマ:「教室内での教師のことば:理論と実践」
講師:横溝紳一郎先生 柳瀬陽介先生
日本語センターニュース(財団法人交流協会日本語センター)

一時間目(横溝先生)ティーチャートークと媒介語使用

「みなさん自身が考へる『いい教師』とは何か」といふ問ひかけから始まる。思ひつくかぎり各自ノートに書き出すやうにとの指示。次にグループ(四、五人)で各々が書いた項目を発表し合ひ、どうしてそれが「いい」のかを質問し合ふ。ちなみに自分のグループで出た意見の一部は以下のやうなもの。

  • 学習者の目を見て話す。
  • 学習者の発言機会を公平にする。
  • 学習者の発言は先入観なしに真摯に聞く 等等

続いて「みなさんが考へる『いい授業』とは何か」といふ問ひ。上と同じ形で進む。研修参加者がリストアップした「いい教師」「いい授業」について講師からは特にコメントなし。みなさん少し拍子抜けしたやうな顔。
ここから横溝先生の話。

決定と行動

態度と意図

信条と価値観

日本語教師が行ふ教室活動は、その教師が持つ価値観(「いい教師」「いい授業」)によつて決まるハズ。自分自身の価値観を明確に「意識化」しておくことで、教室での振舞ひや選択する練習方法などのブレをなくすことができる。例へば、「笑顔の教師がいい」と思ふのなら、漠然とさう思ふだけでなく、自分の笑顔を意識的にコントロールするべし、と。
それぞれの価値観は、その教師の体験と情報・知識から形成されるが、これは変わりやすいものでもあるので、常に意識化をやつていく必要がある。そして、これは教室活動の全て(教師の立ち位置、話し方、板書の方法、教授法その他)について自分で検証しておくことが望ましいが、今日の研修では「ティーチャートークと媒介語使用」に絞りみんなで考へてみませう、と。

tinuyamaの感想
見事な導入。講師が一人でしやべるのではなく、参加者に考へさせながら、うまくテーマに誘導してみせた。それから、参加者に考へさせる時間、グループで意見交換をする時間、それぞれにBGMを流すのですね。これはこの研修の後半に少し説明があるのだけれど、「区切り」をつけるのに非常に効果的。その曲が終れば、グループワークも終りといふ訣で、みんなの反応が早い。また、ストップウォッチとしての役割もある。教師が時計を見ながら時間を計る必要がなくなる。これは、ぜひ自分の授業でも何らかの形で使つてみたい。
(*以下、また時間がある時に書き足していきます。長くなりさうですが、自分用のメモとして残しておきたいので。)