台中の映画館、いつ行つてもガラガラなんだけど、採算とれてるのだらうか。
【追記】銭衝さんのアジアン・エンターテインメント関係のブログ「あじえんざんまい」に「台湾人は年に一本しか映画を見ない?」といふ記事がありました。映画は、デートの時の選択肢の一つぐらゐにしか考へられてゐないのでせうか。

以下、少し前に見て、書きそびれてゐたものをまとめて。

『天邊一朵雲』(2005年 台湾)

監督は蔡明亮。自分も坊主頭にしてゐるせいか、この監督に似てゐると言はれたことがあります。あんなにギラギラしてるのか、自分は。
舞台は2004年の台北、水不足の夏。断水が続き、コンビニのミネラルウォーターも売り切れで、水の代はりに西瓜ジュースを飲むといふ状況。AV男優である主人公が仕事の後、汗まみれ西瓜汁まみれ(笑)にもかかはらず、シャワーが浴びられなくて困るといつた場面が妙にリアルに感じられた。台中でも断水期間中は塾のクーラーが使へなくて、大変だつたのです。
しかし、これは誰にでも薦められる作品ではありません。なんといふか、観客に対して非常に不親切な映画。ハリウッド映画のやうなわかりやすさは皆無です。

映画のウソ

『天邊一朵雲』の中で主人公が公園で気持ちよささうに昼寝してゐる場面があるのですが、映画館の中で「そんなことできるわけがない」と叫びさうになりました。自分など、ちよつと公園に散歩に行くだけで、蚊に刺されまくるのです。動いてゐても、かうなのに、あんなにのんびり寝てゐられるはずがないぢやないか、と。(それとも、台北は蚊がゐないのか?)

映画の宣伝

こちらのQianChongさんのレビューは映画そのものよりおもしろい(?)。
http://d.hatena.ne.jp/QianChong/20050321#p1
そして、このレビューの下につけられたid:elielinさんコメントにも納得。確かにこの映画は宣伝方法を間違へたのだと思ひます。自分の生徒の中の映画好きの子に「この映画、見に行かないの?」と聞いてみたところ、「この監督、台湾の観客にはオレの映画はわからないとか言つてるんですよ。そんな映画にお金を払ひたくないですよ(怒)」と。結局自分のクラスの生徒でこの映画を見に行つた人は一人もゐませんでした。

バットマン ビギンズ』(2005年 アメリカ)

期待も予備知識も全くなかつたのだけれど、これがおもしろかつた。映画としての完成度はかなり高いと思ふ。上の『天邊一朵雲』のやうな無茶苦茶な映画を作つてしまふパワーもすごいけど、こんなお金をかけたエンターテイメント映画をきちんと仕上げることができる技術はすごいな。