繁体字は世界遺産になるか?

数日前の新聞で興味深い記事を読んだ。
世界の中国語(北京語)学習者は二千五百万人にも上る*1が、当然のことながら、その主流はあくまで簡体字であるとのこと。中国大陸の人口、政治・経済などでの影響力を考へると、繁体字の「負け」は避けやうもなく、台湾の大学関係者などはかなりの危機感を持つてゐるやうだ。また、「繁体字世界遺産に登録すべきである」という台湾の中研院副院長の意見も紹介されてゐる。
台湾と中国大陸の対立といふのは、言葉に関してもあつたのだな。同じ中国語と言つても、ちやんと訓練してゐないと、両方は読めないものなあ。自分は最初「世界遺産」については自虐的な冗談なのかと思つたのだが、台湾の知人に聞いてみると、本気の発言なのだと言ふ。Googleなどでも繁体字検索はできるし、過去とつながらうと思へば、繁体字の知識がどうしても必要になるだろうから、今後も繁体字が「保護が必要な環境」になるとは自分には思へないのだけれど。
この記事、検索してみたら、ネットでも読めた。

以下、記事の中から、いくつか興味深い点を抜き出してみる(なんちやつて訳なので、おかしい部分があれば、ご指摘を)。

昨年度台湾で中国語を勉強した外国籍の学生は七千人強だが、大陸では六万五千人が学んでゐる。

中国大陸は一昨年「簡体字だけを教へ、簡体字だけでテストをする」ことを条件に、アメリカの大学理事会(?)に七十万ドルの援助金を送つた。これに対して台湾は三十万ドルを送り、教材・テストなどで繁体字を排除しないやうに求めた。

そして驚いたのがこれ。

台湾の言語センターでも「繁体字と同時に簡体字とローマ字ピンイン(大陸式の発音記号)も教へる」といふ「メニュー」を出さないと、外国人学習者の興味を引くことができなくなつてゐる。

さうなのですか。以前アメリカ人の友人が「アメリカの大学では簡体字を勉強したが、繁体字を習得するために台湾に留学に来た」と言つてゐたのだけれど、彼のやうな人は少数派なのかしら。
現実的に考へれば台湾でも外国人学習者向けには簡体字を教へるといふのもしかたがないのかもしれないが、同時に繁体字の強みもなんとかアピールできないのかな。

*1:北京外語學院の二年前の調査による。