日本語能力試験

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去年の12月に行われた日本語能力試験の結果が出たもよう。
試験前に1級対策クラスを担当した身としては、一人でも多くの人に合格してもらいたかったのだけれど、1級ともなると、さすがに厳しかったようだ。
今回合格したのは、自分のクラスに来る前から相当の実力があって、自分のクラスへ来なくても、まあ合格していただろうと思える人たち。頑張ってほしいなあと思っていたレベルの生徒たちはほとんどダメだったらしい。自分の力のなさを痛感・・・。
そんな中、一人、信じられないくらいの高得点で合格した生徒がいて、塾経営者は大喜びしていた。合格者数や得点は、その「塾の実績」として今後の生徒募集に使えるからではあるのだが、他にも理由がある。
この高得点者について少し書いてみる。20代前半の男の子。
中学、高校、大学と超一流校を進んできたエリートなのだけれど、高校時代に教師とトラブルを起こして(「過度」のスパルタ教育のため・・・)以来、心身の調子を崩し、大学に入りはしたものの、現在では学校に通えない状態になってしまっているとのこと。この塾のクラスへもお母さんが毎回つきそっていらっしゃっていた。いつまた「問題」を起こすかと、ご両親も塾側も冷や冷やものだったらしいのだが、そこは中国語がよくわからない気楽さ、簡単に話は聞いていたが、自分自身はそれほど彼を特別だとは思わなかった。それが幸いしたのかもしれない。
結局、彼は一度も休まず5時間×15回のクラスへ来てくれた。
日本語の実力はずば抜けてた。発音も文法・語彙などについての知識も、一般的な台湾人日本語教師以上のものを持っていた。正直、自分のクラスでは簡単すぎるのではないかと思っていたほどだったが、お母さんからの手紙に彼が私のクラスを気に入ってくれていたのだと書いてあった。社交辞令だろうとは思うがやはりうれしい。
今まで辛いことがあったでしょうが、この1級合格をきっかけにいろいろな事が好転するよう祈っています。お母さんからいただいたメッセージが本当に喜びに満ちていて、わずかながらも自分がそのお手伝いをできたのかと思うと、自分の励みになりました。