『俳句の世界』(小西甚一)読了

俳句の世界 (講談社学術文庫)

俳句の世界 (講談社学術文庫)

以前同著者の『日本文学史』(ISBN:4061590901)を読み終つた時、文学史の本にも拘らず本文中に一句たりとも過去の文学作品からの引用がなかつたことに気づき愕然とした。文学史の本と言へば、何かしらの引用があり、それについての注釈やら解説があることが当然だと思つてゐたので、著者自身の言葉のみで綴られる文学史は非常に興味深いものだつた。

学生当時から垣内松三先生に「作者や作品の解説だけ並べても文学史にはならない」と厳しく教えられていたので、文藝現象の展開を主軸にしたいと考え、その焦点に「雅」「俗」「俳諧」という理念を据えてみた。

これは、同書の「あとがき」にある記述なのだが、実は私はこの部分を読んで初めて引用のなかつたことに気づいた次第。
著者がこの本で「俗」と「雅」の混合態と定義する「俳諧」についてもつと詳しく読んでみたいと思ひ、『俳句の世界』を買つてみたのだが、その内容はさておき、再び「あとがき」で驚かされることにならうとは。毎日少しずつ読んでゐて、今まで全く気づかなかった……。
調べてみると、下のサイトに詳しい言及があつたので、ご紹介しておきますが、ご自身でこの驚きを体験したいと思はれる方は、リンク先を読む前に、先づ『俳句の世界』を手に取つて数ページだけでも読んでおくことをおすすめします。

『俳句の世界』の内容については、また機会を改めて。今日はとにかく驚いた。