『英語習得の「常識」「非常識」』
- 作者: 白畑知彦,須田孝司,若林茂則
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
語りかけるやうな「です/ます体」で書かれてをり、良質な講義を聞いてゐるやうな気分になる。それぞれの検証ごとに「まとめ」までつけてあり、非常にわかりやすい。
また、所々に挟まれているコラムでは「第二言語習得研究=外国語教育研究」ではないことが強調され、第二言語習得研究の応用の難しさが語られてゐる。この本自体が新たな「俗説」を生んでしまはないための配慮だらうか。言語障害研究と言語障害教育研究の関係を例に挙げての説明がわかりやすい。
脳と言語の関係は,つい最近まで,主に言語障害研究の成果を基に議論されてきました。しかし,言語障害をいかに克服するかという現実的な問題については,現場の療法士の経験に基づく方法の方が,科学的な研究に基づいて考案された方法よりも効果的な場合があります。(P.92)
実際に教室で教へてゐる立場の人間としては、いろいろな研究成果を知りつつ、目の前にゐる学習者に適した指導を工夫していかねば、といふ「当たり前」の結論になるのだが、まだまだ自分自身知らないことが多すぎる。例えば、自分の授業に直接関係がありさうな下の二つ。
検証5 「繰り返し練習すると外国語は身につく」のか?
検証9 「教師が誤りを直すと効果がある」のか?
ともに、本書で取り上げられてゐる研究では否定的な結果が出てゐる。「誤りを直す」については、確かに自分も身に覚えがあるが、「繰り返し」については……どうなのだろう。これらの研究についてもつと詳しく調べねば。