補助動詞「てくる」の練習

みんなの日本語』第43課。
動詞の「て形」に「くる」をつけ、その動作をしに行ってから、元の場所に戻るという意味を表す。他の既習の補助動詞「てしまう」「ておく」などに比べると、意味は理解しやすいのだが、なかなかいい練習方法が思いつかなかった。今回試してみたのは、題して「ものぐさ夫婦」。
生徒に「テレビを見ている夫婦」を演じてもらう。二人はテレビに熱中しているという設定。そこに、やかんの絵を見せて……。
教師「お湯が沸いています」。
生徒「ねえ、お湯が沸いてるよ。ちょっと火を消してきて」などの発言を引き出す。
以下同様に、
教師「ピンポン、誰か来ましたよ」
生徒「誰か来たよ。誰が来たか見てきて


教師「ヒュー、風が強いです」
生徒「ねえ、窓が開いてるよ。ちょっと閉めてきて
……など、いくらでもできる。これはけっこううまくいったような気がする。もし日本語教師の方が見ていらっしゃったら、ぜひやってみてください。


さて、上の練習をやっていて「リーン、リーン。電話の音です」とキューを出した時のこと。こちらが想定していたのは「ちょっと電話に出てきて」だったのだが、これの意味がよくわからないと質問される。
普通「出る」というと、「外に出る」などの場所の移動、「会議に出る」などの出席・参加、また事物主体なら「事件が明るみに出る」「感情が顔に出る」など、公表・露呈といった意味になる。が、「電話に出る」の場合、上記のどれにもあてはまらない(?)。しばらく考えてみたものの、他に「電話に出る」という言い回しに近い「出る」の用法が思いつかなかった。
帰宅後、手持ちの辞書を見てみたが、「電話に出る」という用例は見当たらず。ネットで使える『大辞林』にのみ用例あり。


特別な使い方と見なしたほうがいいのだろうか。いつごろから使われるようになった表現なのか、ちょっと気になる。