授業見学2

tinuyama2004-06-21

週末はまた授業見学。きのう(日曜日)は大学の日本語学科への編入試験問題の解説クラスへ。
正直、試験問題の質に首を傾げてしまう。


【問題】下線の語の活用形を書け。

  1. この料理はおいしいらしい。
  2. この料理はおいしいようだ。

で、答えは1が終止形、2が連体形……。


こんな知識が必要だろうか、と思う。「日本語を学ぶ」ということは、こういった文法トリビアを暗記することではないだろう。これって、大学の編入試験なのですよ。大学生のレベルと言ったって、一部を除いては新聞記事を読むのにも辞書を引きつつえっちらおっちらという程度の学生が多いのに。
それに、現代語では終止形と連体形を分ける意味がないというのは文法に関する本を読めば必ず書いてあること*1。批判の多い*2所謂「学校文法」を、どうして台湾の学生に押し付けるのか。大学の試験問題作成者の自己満足でしかないと思うぞ。


また、試験問題にも関わらず誤字・脱字が多すぎ! ひどいのが、詩の翻訳(日→中)の問題(与謝野晶子「君死にたまふことなかれ」)で、一行抜けてるし……。ほかにも、問題の指示に「空欄に格助詞を書け」とあるのに、答えに「は」や「て」を書かなければならないものもある。日本だったら、大問題になると思うのだが。とにかくこれでは貴重な時間を日本語の勉強に使ってくれている学生に申し訳ない。


せっかく授業見学に行ったのに、問題に腹が立って、老師の話はあまり耳に入りませんでした。

*1:現在の日本語を母語としない人向けの日本語教育では、通常、終止形、連体形を分けない。下一段活用、上一段活用も分けない。意味がないから。

*2:「矛盾に満ちた牽強付会のもの」寺村秀夫『日本語のシンタクスと意味Ⅰ』