息子

自分の子供は母親が台湾人なので3歳までは中国語(北京語+わずかの台湾語)しか話せなかったが、幼稚園の日本人クラスへ行くようになってから、急激に日本語がうまくなり、一年足らずで自分と日本語で会話できるまでになった。
しかし、「うまくなった」といっても、4歳の子供のことで、語彙も限られているし、複雑なフレーズなど言えはしない。また、日本語だけ、或いは中国語だけで育った同年代の子供と比べると、現時点では言語能力が劣っているようにも感じる。同じ年頃の子供たちといっしょにいても、自分から話しかけたりは絶対にしない。いつも最初はじっと観察してるふうで、遊び始めてもほとんど口を開かない。自分の言語環境が他の子たちとは違うということになんとなく気づいているようでもあるし、ただ混乱しているだけのようにも見える。まあ、コイツもいろいろ大変だろうなとは思いつつも、今は特別に何もしていないのだけれど。
子供との日本語の会話はいろいろおもしろいことが多い。
突然子供に「おい、お前、早くしろよ!」と言われて、ドキッとしたりする。これは自分がいつも言ってる台詞で、向こうはそれを真似てるだけなのだけれど、「お前」はないだろうよ、「お前」は。日本で生活してる子供でも最初はこうなのかな? また、中国語では相手が誰であっても、「你」という二人称を使うのだが、子供に自分のことを「你」と言われるのは、いつまでたっても、違和感がある。
それから、子供は動詞を所謂「て形」から覚えるのだということも発見した。子供が最初に耳にする動詞はすべて指示や命令の形。「これ、やって」「早くして」「飲んで」「食べて」・・・というわけで、しばらく前までは、動詞は「て形」しか使えなった。「水、飲んで、飲んで」としきりに言うので、自分が飲むと、「不是、不是!」と怒る。ようやく、「水を飲む、飲みたい」と言いたかったのだなと気づいた。
また、最近は形容詞の否定形を言えるようになった(暑い→暑くない)のだが、「きれい」の否定を「きれいくない」と言う。これは外国人学習者とまったく同じ。やはり「い」という語尾にまどわされるようだ。
今まで子供のことは書かないほうがいいかなと思っていたのだけれど、言葉については何か気づいたことがあったら、少しずつ書いておこうと思う。