条件

tinuyama2004-05-21

日本語には、条件を表す言い方がたくさんあり、その使い分けは台湾の日本語学習者にとって、かなり難しい。簡単な例を一つ挙げると、

  • 彼が来たら、帰ります。
  • 彼が来るなら、帰ります。

このような場合、「たら」や「なら」を「条件」とだけ覚えていては、意味の違いがわからない。
「XたらY」の場合、XとYに時間的前後関係があり、Xの動作が完了した時点で、次にYの動作をするという意味になる。「(後でもし)彼が来たら、(その時点で)(私は)帰ります」。
一方「XならY」は、Xが実現すると仮定した場合の、現時点での判断や意志を述べる。「(後で)彼が来る(のが本当)なら、(今の時点で)(私は)帰ります」。つまり、「彼が来る前に帰る」という意味になる。
この違いを教える時に、便利なのがこの標語。

  • 飲んだら乗るな、乗るなら飲むな。

「飲んだ後は乗るな、乗る前には飲むな」と言い換えて説明。
ちなみに、この標語の中国語版はこれ。

  • 喝酒不開車、開車不喝酒(*「開車」は「運転する」の意)

「たら」「なら」などに相当する条件を表す言い方が一切ないのだけれど、これで意味が通るのが日本人の目からすると不思議だ。


あと、クラスでは次のようなQ&Aをやって用法を確認する。
「結婚するなら、どんな人がいいですか?」(結婚する前の現時点での希望)
「料理が上手な人がいいです。料理が上手な人と結婚したら、毎日楽です」(結婚した後、どうなるか)
先日のクラスでの発言。
Aさん 「結婚するなら、日本人がいいです。日本人と結婚したら、日本語が上手になると思います」
Bさん 「え〜、日本人と結婚したら、浮気が心配ですよ」