[台湾]空港で

台中美術館の近く

ここ数年、日本に一時帰国して台湾に戻って来ると、どういうわけか少しホッとする。
台北(本当は桃園)の空港に着き、中国語を耳するとリラックスできるのだ。自分の中国語の力では、周囲の人たちが話してる会話の内容を全部聞き取ることはできない。だから、ここでは言葉が「意味」として理解されることなく、BGM、またはただの雑音になってくれる。
これが、日本にいるとそうは行かない。何かの列に並んでいる時、バスに乗っている時、喫茶店に入った時など、隣の人たちの会話が全部わかっちゃうのだ! 日本にいると当たり前なのだろうけれど、一年に一度日本に帰るかどうかという生活をしていると、この状態が非常にストレスになる。新しい眼鏡を買ったばかりの状態に近いかもしれない。見えすぎるのではなく、聞こえすぎる。または、起きたばかりで急にカーテンを開けられたような感覚。
日本の空港に着いた途端、言葉の洪水に襲われ、その言葉の一つ一つに反応してしまう。しかも、日本語だと語彙やアクセントで、この人は福岡の人だとか、佐賀弁だとかいう情報までわかってしまうのだ。で、今度は逆に自分の言葉が不安になる。そして無口になってしまう。