補助動詞「(て)もらう」について

上の日記を書いてて思い出したこと。以前生徒の一人が「意味を教えてください」と言って持ってきた日本語の文章の中に次のようなものがあって感心したことがあった。ネット上にあるアニメの感想サイトからのもので、「(作品Aには)泣かせてもらったが、(作品Bには)泣かされそうな予感もする」。これを外国人が「文法的」に理解するにはかなり高度な知識が必要なんです。まず、「泣く」の使役形「泣かせる(泣かす)」があり、この文章の場合は、あるアニメ作品を見たことが原因で、感情が喚起されたという意味になる。次に、その使役形に「てもらう」をつけることで、「その事が私の利益になる/うれしいことだ、よかった」というニュアンスが加味される。「感動して泣いた」という意味ですよね。一方、受身を使い「泣かされる」にすると、逆に「迷惑・被害を受ける」という意味合いになり、「泣きたくないのに…」、つまりその作品に対する「不満」や「情けない」といった感情が表される。
自分は外国人学習者の目から日本語を見ることに慣れてしまっているので、こういった複雑な情報を、短い文の中でさらりと表現できてしまう日本人の言語感覚に改めて驚かされました。まあ、当然と言えば、当然のことなんでしょうが。