『明解新辭林』(昭和十八年発行)

tinuyama2006-04-08

奥付から

昭和十八年十一月一日印刷
昭和十八年十一月五日發行
編輯兼發行人 
松浦一郎 臺北市西門町三丁目四番地
印刷人  
海老原力 臺北市大安十二甲三○一番地
印刷所 
財團法人臺灣三成協會臺北支部印刷部 臺北市西門町三丁目拾九番地
發行所 文化教育會 臺北市西門町三丁目四番地
配給所 日本出版配給株式會社

殖民地時代に台湾で出版された辞書のやうだ。どういふわけか、巻頭の「緒言」部分に複数のフォントが混じつて使はれてゐる。この大きさの活字が揃はなかつたのか。それにしても不自然。ちなみに「緒言」の日付は「二千六百三年秋」となつてゐる。(【追記】あらためて見直してゐて気づいたのですが、ゴシック体での部分強調だつたやうです。古い辞書で、状態もあまりよくないものだつたのでわかりませんでした。)
この辞書のおもしろい点は、活字以外にもペン書きまで記載されてゐるところ(写真参照)。こんな辞書は初めて見た。石川雅山氏のものとのこと。
それから、見出し語に「赤新聞」といふのが出てゐるのは、戦時中だからかな。説明には「俗悪新聞」と。
【追記】
闇黒日記(平成十八年四月九日)」にて以下のやうに教へていただきました。

「赤新聞」は、赤い紙を使つてゐた萬朝報に由來する言ひ方で云々。共産主義の新聞の事ではないよ。

てつきり共産主義系の新聞のことなのかと思つてゐました。どうもありがたうございます。
以下、教へていただいたサイト二つ。
http://www.ne.jp/asahi/nihongo/okajima/zatu/akasinbn.txt
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