“JERRY MAGUIRE”(1996・米)

邦題『ザ・エージェント』。台湾での題名『征服情海』。ザ・エージェント [DVD] 
良心的な提言書(Mission statement)を社内に配ったばかりに、大手のスポーツ・エージェント会社を首になった主人公、ジェリー・マクガイア(トム・クルーズ)。フリーのエージェントとして再起を図るが、彼のクライアントは、落ち目の黒人フットボール選手ただ一人…。


この映画のキーワードである“Mission statement”という英単語には個人的な思い出がある。その昔、アメリカに留学した時の最初の授業(倫理のクラスだったかな?)で、その大学の“Mission statement”を評価してみようというグループワークがあったのだ。その時この単語の意味がわからなくて*1、まったく討論についていけず、冷や汗をかきまくった。学校の場合だと、「教育理念」「教育目標」とでも訳すのだろうか。後になって知ったのだが、アメリカでは企業、また個人でも、職業人としての“Mission statement”をきちんと記しているところが多いらしい。ともかく、新入生の最初の授業にこういった討論をやるあたり、アメリカのいい意味での「青臭さ」というか、「理想主義」的な一面を感じた。
さて、この映画では、自分の良心に忠実に生きようとする主人公の姿勢が小気味いい。冒頭、Mission statementを書き、深夜のKINKO'Sでコピーをとる場面、会社を首になり、荷物をダンボールに入れてオフィスを離れる場面など、非常に痛快だ。
あてにしていた有望なクライアントを失い、気落ちする主人公に対して、ドロシー(経理職員)が言う台詞*2

Sure, I care about the job. Of course. But mostly...I want to be inspired. What you wrote inspired me.

「仕事のことも、もちろん大事だけれど、それよりもインスパイアされたいのよ」。(「インスパイア」も、日本語にしにくい。最後の部分は、「あなたが書いたものには、感動したわ」という感じだろうか?中国語字幕でしか見てないので、日本語訳がどうなってるのかわかりません。)
また、主人公がクライアントのフットボール選手を煽る台詞。

Alright here's why you don't have your ten million yet. Right now, you are a paycheck player. You play with your head, not your heart. In your personal life - (points to chest) Heart. But when you get on that field -- it's all about what you didn't get, who's to blame, who underthrew the pass, who's got the contract you don't, who's not giving you your love. Well, that is not what inspires people. That's not what inspires people. Shut up. Play the game. Play it from your heart. And you know what? I will show you the "kwan." I'm sorry, but that's the truth. Can you handle it? Just a question Rod. Between friends. YOU KNOW?

「今のおまえのプレーじゃ、誰もインスパイアされやしない! ハートでプレーしろよ!」と。要約してみると、たいしたこと言ってないのだけれど(笑)、映画の流れの中で聞いた時は、ずしんと心に響いた。


実は、この映画に「インスパイア」されて、自分自身の“Mission statement”を数年前に書いてみたことがある。なぜこの仕事(日本語教師)をやるのか。どういう教え方で、どこに目標をおくのか。教室でやっちゃいけないことは何か…など、いろいろ思いつくままに書きなぐっただけなのだけれど。
以来、仕事がうまくいかない時など、この映画のビデオを借りて見るようになった。自分のおすすめの映画です。

*1:実は、今でもよくわかっていない。というか、適当な訳語があるのか?

*2:http://www.geocities.com/djasian/jerrymaguire.html